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ゲロゲロ空手日記 ⑯ 何で何で何で?

 我が道場に、小学3年生と4年生の茶帯の兄妹がいる。

 この兄妹、年子の兄妹にしては驚くほどに仲がよい。練習中に二人一組を作らせると、必ずペアになろうとする。練習態度は真面目で、お母さんも毎回の練習を最初から最後まで見学していくほどの熱心さだ。

 しかし、この二人、共に動きに独特の癖がある。練習の度に何度も注意して癖を矯正しようとするが、一向に直らない。

 ところが、前回の練習で、妹の癖が見事なまでに消え去っていた。

 妹の癖は、何故だか理由は分からないが、突きの際に、途中でスピードが落ちてしまい肘を伸ばしきらないで止まってしまうというものだ。

「肘が痛いのか?」

 と尋ねても首を横に振る。

 何度見本を見せても、私が癖を同じように真似てダメな理由を説明しても、全く改善されなかった。

 が、前回は、正拳突きをさせても突きが最後まで失速しない。突き終わりにいつも曲がっていた肘が、しっかりと伸びきっている。

「○○(妹の名前)! 今日は、いいじゃないか!」

 私が褒めると、妹は、はにかんだように笑っている。その後、移動基本をやらせても、型を行わせても、いつもの独特な癖は影を潜めている。

「○○(妹の名前)! 今日はどうしちゃったの? 素晴らしいじゃないか!」

 面白いもので、いつもの癖が直っているばかりか、その他の動きまでまるで別人のように決まっている。蹴りもスナップが利いていて技のキレまで良い。私は何度も感嘆の声を上げた。
 どういう訳か、それ(妹の変化)に感化されたのか、入門してまだ数ヶ月の白帯軍団まで練習に気合いが入っている。道場全体の雰囲気まで良くなっている。

「○○(妹の名前)! 今日は○○(妹の名前)が素晴らしいから、白帯さん達まですごく頑張ってるぞ!」

 私の大声に、妹は恥ずかしそうに、嬉しそうに笑っている。

「今日は本当にどうしちゃったの? 何でこんなに上手になっちゃったの?」

 何回か妹に聞いてみたが、微笑んで首を横に振るばかりで答は聞き出せなかった。

 稽古終了後、私はいつも練習を見学しているお母さんに言った。

「お母さん、今日はいつもと比べて何か違いませんでした?」

「はい、いつもとは全然違いました(笑)

 お母さんも、妹の変化に気が付いていたようだ。(指導員の私が何度も褒めちぎっていたから当たり前かも知れないが)

「何か理由はあるんですかねえ?」

 私は、心の底からその理由を知りたかった。

「もしかして、今日はお兄ちゃんが休んでるからでしょうか?」

 確かにその日は、お兄ちゃんは中耳炎になってしまったという理由で稽古を休んでいた。

「うーん、それが理由ですかねえ?」

 理由は全く持って分からない。次回、お兄ちゃんが練習に復帰した際、妹の癖がぶり返したらお母さんの推理が当たっている事になるが。

 ちょっと次回の練習が楽しみである。

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