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天使がくれた戦う心

 ★★★★★★☆☆☆☆

 天使がくれた戦う心 (祥伝社文庫)

 ムエタイ戦士の頂点を二度も極めた男ヌンサヤームと、内気で気弱な日本人少年、内田との交流を描いたノンフィクション作品、『天使がくれた戦う心』を読了した。

 題材は素晴らしいのだが、踏み込みが今一歩浅いような印象を受けた。その割に対象と書き手との距離が、ノンフィクションにしては近すぎる。文章も、読みやすい部分と、何だか読みにくい部分とがあった。

「以下引用」

 六歳でムエタイを始めたグーピーは、イサーン地方の真ん中あたりにあるローイェットから、十歳のときに上京してきた。まだプロの資格を持てないグーピーは前座の草試合しか出られず、ファイトマネーも一試合で二百バーツ(約七百円)だった。それでも毎月少しずつ両親に仕送りを続けていた。十三歳、日本ならまだ中学一年生のグーピーも、両親の生活を支えるために戦う立派なムエタイ戦士なのだ。

 ムエタイ戦士はたとえ幼い子供でも、親に甘えたり友達と遊んだりという楽しみは捨てなければならない。その覚悟が持てるものだけが、ムエタイ戦士として他の出稼ぎ労働では見ることのできない一攫千金の夢を見ることが許されるからだ。内田のように憧れや、強くて逞しい心を手にしたくてムエタイをする者はケッチャンシンジムにはひとりもいなかった。タイの貧しい庶民にとって、ムエタイは生きていくための仕事に過ぎない。でも、生きていくための仕事だからこそ、なおさら強くて逞しい心がなければ生き残っていけないのだ。

【『天使がくれた戦う心』 会津泰成〈あいず・やすなり〉(2010年、祥伝社文庫)】

 タイには、ムエタイ戦士が十万人いると言われているそうだ。

 貧しさのために、戦う事を余儀なくされてリングに上がった少年は、七百円のために命を懸けて戦う。

 前座の草試合をも賭けの対象とする大人達の存在があるからこそ、少年達は貧しい親に仕送りをすることが出来る。

 トップクラスのムエタイ戦士の蹴り技は、本当にほれぼれしてしまう程に美しい。     
 彼らの蹴りは貧しい家族に金を送るために、自分と同じように家族を養っていたライバル達をリングに沈めてきたのだ。

 だから、悲しい程までに、彼らの蹴りは美しいのだ。

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