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ルワンダ大虐殺 世界で一番悲しい光景を見た青年の手記 ⑬

  ルワンダ大虐殺 〜世界で一番悲しい光景を見た青年の手記〜

「以下引用」

 毎年四月に追悼式典が開かれると、ある時には学生や生徒達たちの前で、ある時にはマスコミの前で講演を依頼されることがある。そういう時、聞き手は本当に衝撃を受けて親密な同情を寄せることは寄せるのだが、その眼差しの中にしばしば不信が湧き上がり、私の話を疑って距離を置くようになるのだ。「もうたくさんだ!」と彼らは考える。あまりにも耐えられない、あまりにも痛ましい、あまりにも恐ろしい、ありえないような出来事が本当に起こったなんて、あまりにも……。あらゆる点で限度を超えた、語るにも聞くにも痛ましすぎる物語。私はいつも、口を閉ざしてしまいたくなる気持ちと戦わなければならない。

「ひどすぎる。もう止めて!」生き残った人々の中で、自分の経験した悲劇を語っている時にこんな言葉を投げかけられなかった者が何人いるだろうか? 私が時々いくつかの事実をぼかし、細かい描写を控えるのは、私たち証言者にはいつも聞き手に信じてもらえないのではないかという不安があるからだ。話し手と聞き手の関係を耐えられないものにしないように、私の話を事実だと判断してもらえるように、あえてそうしているのだ。

【『ルワンダ大虐殺 世界で一番悲しい光景を見た青年の手記』 レヴェリアン・ルラングァ/山田美明[訳](2006年、晋遊舎)】

「ひどすぎる。もう止めて!」
 こんな言葉を発した人物のことを私は責められない。何故なら私も、この『ルワンダ大虐殺 世界で一番悲しい光景を見た青年の手記』を読む前であったならば、同じ過ちを犯してしまったかも知れないからだ。

 一九九四年にルワンダで行われたジュノサイドは、本当に、あらゆる点で限度を超えたこの世界の地獄である。地獄を生き延びたツチ族の人々が紡ぐ言葉は、容赦なく、聞く者の価値観を破壊してしまうだろう。

 しかし、これは決して許される言葉、態度ではない。
 ジュノサイドの現実を話す、ツチ族の言葉を遮るような権利は、どこの誰にも与えられていないのだ。聞きたくなければ、何も言わずその場から去るべきだ。臆病者は静かに逃げ出すべきなのだ。

 レヴェリアン・ルラングァ氏は、読む者の不信を心配して、この手記においてもいくつかの事実をぼかし、細かい描写を控えているのだろうか?
 この書に綴られた文章は凄まじいが、ジュノサイドの地獄は決して言葉で表現できるようなものではないだろう。世界で一番悲しい光景を見たルラングァ氏の、本人でさえ言語化出来ない精神内面の苦悩を、たとえ百分の一であろうと、千分の一であろうと私は受けとめられているのだろうか?

 逃げ出さず、眼を逸らさず、耳を塞がず、ツチ族の人々の苦悩に少しでも同苦できるように、私は本書を繰り返し読む。

  

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