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ルワンダ大虐殺 世界で一番悲しい光景を見た青年の手記 ⑭

 ルワンダ大虐殺 〜世界で一番悲しい光景を見た青年の手記〜

「以下引用」

 生き残ったツチ族は、あのジュノサイド特有の難題に直面した。ジュノサイドの後に大きな誤解が生まれたのだ。一九九四年七月にPRFがギガリを占領して虐殺の集結協定に調印すると、何十万というフツ族、何十万という虐殺者たちが報復を恐れて逃げ出し、ザイール国境にある巨大な難民キャンプに向かった。全世界のカメラに映される悲壮な集団逃亡。最近派遣されたばかりで状況が何も分かっていない特派員たちが涙まじりに解説する。

「気の毒にもこの人たちは家を、国を追われて逃げていかなければいけません。その姿はあまりにも悲惨です。避難民の中でコレラが猛威を振るっています」(これらの表現はみな、ある意味では正しい)

 私たちの虐殺が屍衣に包まれたかのように沈黙した途端、途方もないメディアが殺到したのだ。フツ族の集団逃亡が、ツチ族のジュノサイドを押し隠してしまった。私たち生き残りは、世界の大国いずれにも見捨てられた。そして私たちは見たのだ。その同じ大国が殺戮者のことばかり考え、彼らを可愛がり、彼らに食料を与え、彼らの世話をし、彼らの上に世界の同情が集まるようにしているのを。自分たちがたった今経験したばかりの恐怖に茫然となっていなければ、私たちは声を張り上げていたことだろう。

「だがあいつらは人殺しだ! なぜあなた方は私たちには何もしないで、人殺しの方を助けるんだ?」

【『ルワンダ大虐殺 世界で一番悲しい光景を見た青年の手記』 レヴェリアン・ルラングァ/山田美明[訳](2006年、晋遊舎)】

 何たる理不尽! 何たる不条理!

「理不尽」を訴える人間には、ルワンダでツチ族の人々が直面した本物の理不尽を教えればいい。

 ツチ族の人々に襲いかかる試練のあまりの酷さに、怒りと悲しみの感情とぶつける相手のいない疑問しか湧き上がって来ない。

 大国のメディアは何故ジュノサイドは黙殺し、虐殺者たちの集団逃亡には関心を示したのだろうか。何故このような出来事が引き起こされてしまったのだろうか。本物のジャーナリズムは最早この世界には存在しないのだろうか。
 ルワンダにおける過ちに対する、メディアのその後の対応はどうだったのだろうか。

 不正義の支配するこの世界を変えていくために、私たちがしなければならない事は多い。

 以下は私自身の覚え書きである。

・自分の頭で考えること。
・自分の眼でものを見ること。
・真実を見抜く眼を養うこと。
・時には耳を澄ませること。
・人間という存在の、汝自身を知ること。
・声を発すること。
・耐え忍ぶこと。
・正義を胸中に築き上げること。
・実力を付けること。
・善の連帯を創り上げていくこと。
・世界を良くしていくのは、今を生きる人間の手によってでしか成し遂げられないということを強く胸に刻み込むこと。
・無力な自分を諦めず鍛え上げること。
・人間を信じること。

 想像を超えた角度とスピードで何度も振り下ろされる悲運のマチューテを耐え忍び、それでも正義を勝ち取るために立ち上がった一人の青年、レヴェリアン・ルラングァ。
 世界で一番悲しい光景を見たその瞳で、真実を見透かした上で綴る彼の文章を読む「義務」が「正義」を口にする人間、求める人間にはある。

 

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