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彩花がおしえてくれた幸福

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                 彩花がおしえてくれた幸福

 読み終わるまでの間に、温かい涙が何度も頬を伝わり落ちた

 この世界には、何と素晴らしい人々が暮らしているのだろう。

 優しさと思いやりに溢れ、それをしっかりと行動に移す本当に温かい人々。そんな人たちがこの本には次々と登場する。

 私は一人、ページをめくりながら静かに涙を流した。

 人間は、人生は、世界は、本当に素晴らしい。

「以下引用」

 彩花を見送ってから、六年半あまりの歳月が流れました。

 日数にすれば二千数百日―。今、この文を読んでくださっているお一人お一人にとっても、さまざまなことのあった歳月だったことでしょう。

 私にとっては、あまりに多くのことがありすぎた、文字どおり嵐のような日々でした。この歳月のうち、私は、わが命より大切だった娘を喪い、心が癒えるまもなく、今度はガンという病魔によって、女性にとってはやはりかけがえのない乳房もひとつ喪いました。

 そう考えれば、しんどいことの多すぎた六年半でした。

 けれども私はまた、この歳月の中で「幸せ」というものの姿を知ることができたのだと思っています。

 嵐の中で、人生とはどこまでも闘いなのだと教えられた日々。座り込みそうになる自分を励まし、闘い続けるところに人間の幸福があるのだと、ようやく心から実感できるようになったところです。

【『彩花がおしえてくれた幸福』 山下京子〈2003年〉(ポプラ社)】

 何事も無く、平穏無事に暮らすことができればそれは幸福なのではないだろうか、という思いも、正直私の心の中にはある。愛する家族がいて、健康で、悩み事が無ければ、確かにそれを幸福と呼んでいいのかも知れない。

 しかし、人生を生き抜いていく過程で、苦しみや悲しみや悩みは決して避けて通れないものだ。

 あり得ないが、一つも悩みの無い人生などというもがたとえあったとしても、それはひどく薄っぺらで味気ないものであろう。これは負け惜しみではない。

 悩みが一つもないという人に時々出会うことがあるが、それはきっと、本音で話していないか、悩むべき問題に気付いていないだけなのだろう。

 苦労に苦労を重ねて、それでも悩みを乗り越えて真っ直ぐに生きる人物は、言葉で言い表せないような魅力を持っている。

 苦難な道を、前を見据えて歩き通してきた人物は、自分や家族の平穏だけを願っては生きない。

 お会いした事はないが、山下京子さんは本当に魅力に溢れた人だ。

 山下京子さんが著した三冊の本を、私はきっと、この先も何度も読み返すだろう。

 人生はどこまでも闘いなのだ。

 闘い続けるところに人間の幸福があるのだ。

 平穏無事だけを願う弱さとは決別する。

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