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ルワンダ大虐殺 世界で一番悲しい光景を見た青年の手記 ⑫

   ルワンダ大虐殺 〜世界で一番悲しい光景を見た青年の手記〜

「以下引用」

 瀕死の重傷を負った犠牲者が相手の虐殺者を赦したとか、残虐行為の数年後に和解が成立したとかいう数々の素晴らしい例を引き合いに出す人はたくさんいる。大部分は好意的なキリスト教徒だ。そんな人たちと話をしている時に身を切るような沈黙が訪れると、テーブルの上にこんな質問が必ず転がり出て来る。

「それで、レヴェリアン、君は赦してあげたの?」

 何て腹立たしい質問だ! 私は怒りを隠さずに答える。

「正義がない以上、赦しなんて問題外ですよ」

 相手は続けて言う。

「誰かが第一歩を踏み出さないといけないんじゃないかな」

「罪を犯した方が自分の罪を認めることが第一歩だよ。そうして初めて人殺しの心にも良心の呵責が生まれるんだ。その一歩は、他人が肩代わりできないものなんだよ。ところがご承知の通り、ごくまれな例外を除いて、虐殺者たちは自分の行為を認めないまま生活している。極悪非道な残虐行為を押し隠したまま、大赦を与えてくれる『秩序』へ服従することで自分の責任をぼかしているんだ。何にもしていない彼らをどうして赦せるっていうんだ?」

【『ルワンダ大虐殺 世界で一番悲しい光景を見た青年の手記』 レヴェリアン・ルラングァ/山田美明[訳](2006年、晋遊舎)】

「それで、レヴェリアン、君は赦してあげたの?」

 どんな人間が、どんな顔でこんな質問を著者にぶつけたのだろう?

「誰かが第一歩を踏み出さないといけないんじゃないかな」

 ジュノサイドの現実を知った上で、著者の乗り越えてきた体験の壮絶を知った上で、こんな無神経な言葉を吐いたとすれば、その人物は軽薄な偽善者かとんだ勘違い野郎のどちらかである。

 勘違い君の寝言に対するレヴェリアン・ルラングァ氏の反論に、私は無条件に拍手喝采を送る。

 後悔も懺悔もないフツ族の人間を、本書を読んでジュノサイドの現実を知った人間は絶対に赦してはならない。

 私は何も、目には目を、虐殺には虐殺を、断じて復讐せよと言っているのではない。

 フツ族の人間が行ったことは、この世界では、この宇宙では断じて赦されないことなのだということを、虐殺者たち自身に魂のレベルで認識させて気付かせなければならない。

 現実を何一つ認識もさせず、罪を犯した自覚もないままに一方的に赦したところで、フツ族の虐殺者たちは、シモン・シボマナは、鼻でせせら笑ってビールを飲むだけに決まっている。

 被害者であるツチ族の人たちに「赦し」の話をする前に、まず、加害者であるフツ族の人間に自分たちの犯した罪の大きさを認めさせなければならない。

 そして、フツ族の人間が、悶絶死する程の後悔と懺悔の深淵に沈み込んだ後、それでも人間としての蘇生の道を、死に物狂いで歩み出した時に初めて、ツチ族の生き残った人々に対して、「赦し」について質問する機会が訪れるのだ。

 物事にはすべて「時」というものがあるのだ。

 こんな無礼千万で、百万光年の的外れな言葉を発した人物は、ルワンダに渡って同じ言葉を、マチューテを握りしめたフツ族の人間に対してぶつけてみるべきだ。

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