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アー・ユー・ハッピー?

 ★★★★★★★★★★

 スーパー・スター、矢沢永吉の本である。

 まだ二十代の矢沢永吉の言葉を収めた『矢沢永吉激論集 成り上がり』は、私の中ではブラベスト本。

 トップを走り続けたまま五十代になった矢沢永吉の本、『アー・ユー・ハッピー?』が良くない訳がない。

「以下引用」

 オレは怖いからツッパっていた。萩原健一と会ったときもそうだった。

 キャロルがデビューして間もないときに、ミッキー(・カーチス)さんが、「矢沢、ショーケンがお前らを見たいって言ってる。今日、来るよ」と言った。

「えっ。ショーケンが来るんですか?」

 当時の沢田研二や萩原健一といえば、オレには、雲の上ってことじゃジョン・レノンにも等しかった。とうとうショーケンがオレたちを見に来るぐらいにまでオレは出世したと思った。

 ショーケンは一時にスタジオに来る。

 オレもうソワソワしちゃって、ジョニーとかに「まだ一時にならない?」と何度も聞いた。そのときスタッフの一人が、

「一時になりました」

「ショーケン来てるか」

「まだ来ていません」

「おまえら、絶対にナメられるなよ」

 ショーケンだってちっともナメようなんて気はないのに。ただ単にキャロルを見に行こうかっていうだけなのに。オレはもう昂ぶっていた。

「ナメられるなよ」とメンバーに言った。

 やがて「萩原さんがいらっしゃいました」と誰かが言った。

 オレはもう、待ち焦がれて、待ち焦がれて、うれしくてうれしくて。

「レイバンはどこいった? オレのレイバン、レイバン」

 オレはサングラスを探した。

「ポマード、ポマード」といって髪の毛をなでつけてから、足をソファーに投げ出した。

「萩原さんがいらっしゃいました」

 そう聞いたとたん、オレは寝たふりをした。レイバン、リーゼントでソファーに寝ころんだ。

 ショーケンの声が聞こえてきた。ジョニーとうっちゃんたちは、普通にギターをいじっている。

「あ、こんにちは。どうもおはようございます」

 オレは絶対に自分から「おはようございます」なんて言うまいと思っていた。

「おまえらキャロルか~。カッコいいな」

 ショーケンの声が聞こえた。

「あのー」ってジョニーが言っている。

 このへんがタイミングかなとオレは思った。

「おまえら、カッコいいな」

 そうショーケンがいって、寝たふりをしていたオレはグッとショーケンのほうを向いた。カウントを計った。ここかなと思って、ワン、ツー、スリー、ドン。

「そういうあんたもカッコいいね」

 笑い話みたいだけど、オレがまだもっと野良犬みたいにやせてて、吠えてばっかりいたころだよ。

【『アー・ユー・ハッピー?』 矢沢永吉〈やざわ・えいきち〉(2004年、角川文庫)】

 30億の借金を背負って、それを跳ね返す男、スーパー・スター、矢沢永吉。

 繊細で、傲慢で、臆病で、優しくて、矛盾があって、それでも全力で生きる矢沢永吉。人間、矢沢永吉の生き様が胸をうつ。

 スーパー・スターとして生きることのストレスは、私たち一般人にはまるで想像も付かない。

 しかし、スーパー・スターであることは別にしても、矢沢永吉の生き方は真っ直ぐで頑なだ。

 あくまでもそれは活字を通して得た情報をもとにした、私個人の意見ではあるのだが……。

 物事には色々な側面があって、本書に書かれていることがすべて間違いなく事実であると信じる訳では無いが、ここに綴られている矢沢永吉の思いは真実なのだと私は思う。

 どでかい、どでかい夢を本気で描いて、それに向かって一途に走り抜けてきた姿勢は、心して見習わなければならない。矢沢永吉が、スーパー・スターとして走り続けられているのは、ただ単に運が良かったという理由からでは無いという事が、本書を読むと理解できる。

「カッコいい」っていう言葉は、私の中では、非常に大きなキーワードとなって存在している。

 これはイケメンとかハンサムだとかそういうんじゃない。生き様の話だ。身の処し方の話だ。人との接し方・付き合い方の話だ。目標に対する取り組み方の話だ。愛する者たちへ注ぐ眼差しの話だ。

 私はカッコよく生きたい。

 別にスマートじゃなくても構わない。矛盾を抱えていたっていい。時には失敗したっていい。

 でも、カッコよくありたい。

 私の人生は、私に、「カッコよく生きる事を望んでいる」と勝手に思い込んでいる。もちろんカッコいいかどうかを決めるのは自分である。誤魔化しはきかない。自分のことは全部判ってしまう。目は反らせられない。

 だから、やるしかない。カッコよくを目指して。ストレートで。

 カッコ良く生きたい人、スーパー・スター矢沢永吉の生き様を感じたい人、是非、『矢沢永吉激論集 成り上がり』『アー・ユー・ハッピー?』の二冊をお読み下さい。

成りあがり How to be BIG―矢沢永吉激論集 (角川文庫)

アー・ユー・ハッピー? (角川文庫)

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