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チームバチスタの栄光

 ★★★★★★★★★★ ★★★★★★★★★★ ★★★★★★★★★★

 遅ればせながら、「チームバチスタの栄光」を読みました。題名は知っていましたが、私は、映画もドラマも観ていませんでした。

 読んで本当に良かった。
 学生時代の友人に勧められなければ、もしかしたら一生本書を読まなかったかも知れません。

 Hさん、本当に感謝です。ありがとうね。

 物語を要約すると以下の通りです。

『天才外科医、桐生恭一を中心として結成された「奇跡のチーム」が行ったバチスタ手術(拡張型心筋症に対する手術)において、3回連続で患者の術中死が発生した。
 病院長の特命を受けて事件の調査に乗り出したのは、神経内科教室の万年講師で、不定愁訴外来責任者・田口と、厚生労働省の変人役人・白鳥だった……。』

 物語にグイグイと引き込まれました。

 間違いなく傑作です。

 ここ数年の間に呼んだフィクションの中では、ダントツと言っていいでしょう。

 「以下引用」
 心停止液注入、上行大動脈クランプ。心臓停止。心臓が心細げに小さな震えの中で縮こまる。患者の魂は地獄の門のたもとにしゃがみ込む。
 手術室の空気が揺れた。顔を上げると、鳴海が覚束ない足取りで入室してきた。よろけながら必死に術野の高みにたどりつこうとする。昨晩のダメージから立ち直っていないことが一目で見て取れた。
 鳴海は桐生を見る。桐生は固く眼を閉じ、動きを止めている。
 桐生は天声が降りてくるのを、待っている。ただひたすら待ち続けている。その沈黙が、鳴海の中に少しずつ生気を吹きこむ。
 鳴海は蘇生した。徐々に視線の光が増す。息を吸い込んで、ゆっくり吐き出す。
「左心室側壁四十%、前下行枝領域十%の合併切除」
 桐生は眼を見開いた。一瞬、鳴海と桐生の視線が交錯した。
「オーケー、いくぞ」
 桐生のメスは光の尾を引いて、眼下の心臓に切り込んでいった。
【『チームバチスタの栄光』 海堂尊〈かいどう・たける〉(2007年、宝島社文庫)】

 どのキャラも光ってます。

 物語の構造もいいです。

 文体もグッドです。

 強いて上げれば瑕疵が無い訳ではありませんが、この小説の面白さの前には非常に小さなものです。

 とにかく、未読の方、『チーム・バチスタの栄光』をお読みください。

 面白さは完全保証します。

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