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流れる星は生きている

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 大ベストセラー「国家の品格」を著した著名な数学者、藤原正彦の実母、藤原ていが書いた「流れる星は生きている」を読んだ。

 この人、作家、新田次郎の妻でもある。

 書店で何気なく本書を手に取り、気まぐれで購入した。

 これが大傑作。

 時に歯ぎしりして怒り、時に感動の涙を流し、時に手に汗を握りながらページをめくった。

 これだから読書はやめられない。

 裏表紙に、「戦後空前の大ベストセラー」と書かれていたが、紛う事なきブラベスト本である。

「以下引用」

「さあ早く、子供たちを」

 といった言葉に、私ははっきりと母としての責任を意識した。

 私は子供を護るために逃げるのだと、はっきり決心がつくともう泣いてはいられなかった。もう一回初めから荷物の整理をした。しかし、子供三人のほかにどれだけの荷物が持てようか、ほんの身の廻りのもの、子供たちの冬着だけで荷物はいっぱいになってしまった。

 三歳の正彦を私が背負って、夫はリュックサックの上に咲子を乗せて、両方にトランクをさげ、正広はあるかせて新京の駅まで行くことにした。

【『流れる星は生きている』 藤原てい(1976年、中公文庫)】

 昭和二十年八月九日、ソ連参戦の夜、著者、藤原ていは、一人で子供三人を連れて満州の新京より脱出して故国日本を目指す。

 長男の正広は六歳、後の数学者で次男の正彦は三歳、一番小さな咲子は生後一ヶ月という幼さだった。

 三歳の正彦が挫けそうな場面では、「正彦、頑張れ! 男の子だろ!」と思わず心の中で叫んだが、冷静に考えればこの人、昭和十八年生まれの66歳。私などの若輩者に励まされるようなお方では無いのである。

   

 そう、この人である。 

 それはわかっていても、描写されている三歳の正彦に向かって、私は心の中で叫び続けた。

「正彦! 負けるな!」

 私は、作者、藤原ていの言動に心を打たれ、途中何度も表紙裏に印刷された写真を眺めて独り言を呟いた。

「アンタ凄いよ」

 母親の強さには男性は絶対にかなわない。写真で見る藤原ていは、非常に味のある温かないい笑顔をしている。

 この本に綴られている藤原ていの言葉は非常にストレートで真っ直ぐ。(ダブった表現であるが『ストレートで真っ直ぐ』という表現がふさわしいと私は思う)

「読まなければ大損!」と、ここに断言させて貰おう。
 

 

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